リーダー挨拶

坂上雅道

玉川大学脳科学研究所では、その前身である学術研究所脳科学研究施設の設立以来、ヒトの心の科学的理解をめざして脳科学研究を行ってまいりました。2002年には、21世紀COEプログラムに「全人的人間科学プログラム」が採択され、2006年の終了時までに動物実験からヒトの脳イメージング研究、乳幼児行動発達研究にいたるまで幅広く脳研究を行う環境の整備を行うことができました。ここに完成した国内有数の統合的脳科学研究環境をベースに、これまでにない新しい脳と心の科学の教育・研究を行うべく、「社会に生きる心の創成」プログラムを提案、平成20年度グローバルCOEプログラム(学際、複合、新領域)に採択されました。

これまでの脳科学研究は、脳の生理学的・医学的解明に力点が置かれてきました。しかし、ヒトの豊かな心のしくみを科学的に解明するためには、人文社会科学と脳科学の融合的理解が不可欠です。特に、学校・社会教育における心の脳科学的理解の知見の提供は、現代社会の差し迫った要請であり、教育の大学を標榜する玉川大学の重要課題でもあります。本拠点では、基礎的な神経科学と神経経済学・神経倫理学といった学際的脳科学を統合的に研究し、教育することを通じて、ヒトの心の理解に関係する伝統的な学問の再構築ができる人材育成を行います。

また、本プログラムではこのような学際的脳科学教育・研究を世界トップレベルで推進しているカリフォルニア工科大学と連携することにより、国際的な視野をもって新しい脳科学教育・研究を考えることができる拠点をめざします。

拠点リーダー
坂上雅道
(脳科学研究所・教授)