このたび、玉川大学グローバルCOE研究員の高橋英之と宮﨑美智子は、『「こっくりさん」の振る舞い定量化 - self agency の有無に応じたアイ・スクラッチ課題における視線軌道の差異-』という演題を、
アイ・スクラッチ課題とは視線計測装置が内蔵されたディスプレイを用いた独自の課題である。この課題では、黒い覆いで隠されたディスプレイの一部分を被験者が見つめることで、見つめた部分が削り取られ、後ろから絵があらわれる。興味深いことに、大人であっても、自分が見た場所に常にカーソルが表示される条件では視線と画面の随伴性に容易に気づくが、カーソルが表示されない条件においては、自分の視線が画面を削っているという感覚を抱きにくいことが分かった。
今回の HAI 2010 の発表では、アイ・スクラッチ課題において、自分の視線画面を削っていると気づいている被験者の視線の動きと、気づかずに削っている被験者の視線の動きを比較することにより、意識的に画面上のカーソルを操作しようという被験者の目の動きを定量的に評価できることを報告した。現在は、このような手法を言葉が喋れない乳児や犬に適用することで、それらの被験者がディスプレイ上のカーソルを意識的に目で操作することが可能かどうかを検討している。
▲アイ・スクラッチ課題を行っている赤ちゃん