【レポート】
文部科学省特定領域研究「統合脳」・
玉川大学グローバルCOEプログラム 共催
『玉川GCOE・統合脳ジョイント国際シンポジウム』


プログラム


 このたび私は、平成21年11月13~14日に玉川大学大学研究室棟で開催された、玉川GCOE・統合脳ジョイント国際シンポジウムに参加しました。このシンポジウムは特定領域研究「統合脳」と玉川大学グローバルCOEプログラムの共催で行われ、世界5つの国から主に大脳生理学の分野において第一線で活躍する21人の著名な研究者を一堂に会したシンポジウムとして企画されたものです。本シンポジウムの目的は、当該研究者の最先端研究の発表、情報交換はもちろんのこと、玉川の若手研究者にとっては、良質の研究成果に触れて刺激を受けることや、個人的な交流によってさらなる研究の発展を図ることです。本シンポジウムでは関東地区のみならず日本全国から若手研究者の参加が有り、会場は両日とも補助の椅子まで満席の非常に熱気あふれる会でありました。

 本シンポジウムの初日は、まず星英司先生(玉川大学)がOpening remarkをされた後、坂上雅道先生(玉川大学)が前頭葉と線条体における報酬予測について話され、その後9人の研究者が研究発表をされました。本レポートで全ての報告について触れることは紙面の都合上致しませんが、それぞれの発表に対しての質問時間には多くの研究者が活発な議論を行っており、その盛況ぶりがとても印象的でした。夕方から木村實先生(大阪市立大学)がSpecial Lectureとして、基底核における行動評価と選択の神経基盤についての講義をされました。研究成果もさることながら、実験を積み重ねていく際の計画の緻密さや論理性についてじっくりお話ししていただけたことが、大変勉強になったと思いました。また夕食はReception会場でいただきました。他大学、研究所から参加している若手研究者の方々と研究の情報交換や名刺交換ができたので、とても有意義な時間を過ごせたと思います。

 翌日は、一部参加者が朝大学内で迷って会場にたどり着けないというハプニングもありましたが、そのおかげで一層和気藹々とした雰囲気になり、前日にも劣らない活気で会が進行していきました。最初に坂井克之先生(東京大学)が前頭前野における神経活動を脳機能画像研究を元に丁寧に解説して下さいました。その他、10人の研究者が順に発表していきました。個人的には発表の合間の休憩時間に、研究室を訪問し実験を見学されていったLeon Trembly先生(CNRS, France)と研究結果について議論でき、また今後の共同研究や相互訪問について話ができたことが非常に有意義であったと思います。

 今回参加したほとんどの研究者や大学院生が、会の盛況と充実ぶりを感心されていたように思います。最後のConcluding remarkは、高田昌彦先生(京都大学)の、本年度を最終年度とする統合脳で長年尽力されてきた当研究所所長丹治順先生への感謝の言葉で締めくくられました。このようなすばらしいシンポジウムに参加する機会を与えていただいた丹治順先生を始めとする統合脳関係者、及びグローバルCOE関係者の皆様に、深く感謝致します。

日時 2009年11月13日(金)~11月14日(土)
場所 玉川大学 大学研究室棟 B104会議室
報告者 有村 奈利子(玉川大学脳科学研究所・GCOE准教授)