【レポート】
玉川大学・北海道大学GCOEジョイントシンポジウム

 玉川大学GCOEは、「社会に生きる心の創成--知情意の科学の再構築--」というプログラムを平成20年度より開始したが、それに先だって、北海道大学では平成19年度より、「心の社会性に関する教育研究拠点」というプログラムを開始している。玉川大学のGCOEは脳科学を中心に据えているのに対し、北海道大学のGCOEは社会心理学を中心に据えているという違いがありつつも、研究目標としては非常に近い。類似の研究目標に異なったアプローチをする二つのGCOEがジョイントシンポジウムを行い、両プログラムの更なる発展を狙ったのが本シンポジウムである。

 冒頭、玉川GCOEの坂上領域ディレクターより、異分野融合による方法的革新を目指した人文・社会科学研究推進事業に、両大学が共同したプロジェクト「意思決定科学・法哲学・脳科学の連携による「正義」の行動的・神経的基盤の解明」が採択された旨の報告があり、両者の連携を実質化するための資金を得たことが報告された。否が応でも、両大学の協力体制に期待が高まるなかで、本シンポジウムが進行された。次いで、北大GCOEの亀田領域ディレクターより、社会的意思決定を解明のために脳科学を推し進めることの重要性が強調された。

 メインセッションでは、それぞれのGCOEに関わるメンバーの研究が相次いで報告された。等価性の論理獲得の心理学的研究、他者の目のないところでの最後通牒問題における意思決定、社会的意思決定における二過程の脳内機構、達成動機づけの脳内機構、分配の公正さ、個人主義と向社会性の脳内機構、集団内の評判に基づく利他性についての発表が行われた。分野の違いを超えた議論が、ときにアグレッシブに、非常に活発になされ、両大学のGCOEの相互作用は、潜在的な起爆剤を豊富に含んでいることを知るには十分であった。

 本シンポジウムではポスターセッションも行われた。約30報のポスター演題の内容は、行為の計画の脳内の詳細なメカニズムについての研究から、骨相学の歴史学的検討に到るまで、実に多岐にわたるものであったが、どのポスターも非常に盛況で、ここで更なる共同研究の広がりを予感させた。

 さらに、場所を隣の朔風館食堂へと場所を移し、一行は懇親会へとなだれ込み、ロシアンルーレット方式で、個性的な自己紹介が次々となされ、お互いの人となりをよく知り合うことができた。

 北大との連携ワークショップを今後も継続的に行うことは、共同研究を実際に結実することも含め、社会性の多角的な解明のためには、非常に重要であると思った。

日時 2009年10月24日(土)9時00分~17時30分
場所 玉川大学大学研究室棟B101、B104、B107
報告者 松元 健二(玉川大学脳科学研究所・准教授)