【レポート】
2年連続の優勝を逃す eR@sers世界大会で準優勝
ロボカップ世界大会 2009

 玉川大学工学部のロボット工房(RoboWorks)に所属する学生を中心とし、電気通信大学およびNICT(情報通信研究機構)と合同チームを組んだ、チーム eR@sers(イレイサーズ)は6月29日から7月5日までオーストリアのグラーツで開催されたロボカップ世界大会で準優勝しました。

 ロボカップは、2050年にサッカーワールドカップに優勝したチームと戦って勝つことを目標にロボット技術を競うもので、サッカーを中心に、レスキューや家庭ロボットなどいくつかのリーグに分かれて世界大会が行われています。

 今回、準優勝したのはロボカップ@ホームリーグで、キッチンやリビングルームで様々な課題に人と一緒に取り組み、その達成度により勝敗が競われます。日常生活で人間を支援する自律ロボットによる競技を通じて、人とコミュニケーションしながら、より役に立つ仕事を行う実用的なロボットの実現を目指したもので、家庭のような環境で、「自己紹介する」「部屋の見取り図を作成する」「部屋の掃除をする」「言われたものを持ってくる」「人を見分ける」などの課題を競うリーグです。

 チームeR@sersは昨年度の国内・世界両大会制覇の勢いをかって今年も連覇を狙い、5月に大阪市で開催されたジャパンオープンでは圧倒的な成績で優勝し、世界大会に臨みました。6月29日から始まった世界大会では、ドイツやイラン、チリ、メキシコなど10カ国から20チームが出場。世界の強豪チームが集う中、1次予選を首位で突破、10チームに絞られた2次予選ではハードウェアにトラブルが発生し苦戦を強いられるも中盤で盛り返し、一時は首位に躍り出ましたが、最終的には4位で5チームが競うファイナルに勝ち上がりました。

 2次予選終了後、eR@sersのメンバーはほぼ徹夜でロボットを調整。万全の状態でファイナルへ挑みましたが、優勝には一歩届かず、惜しくも準優勝となりました。

 1,3,4位はいずれもドイツチームで日頃から交流をし、技術を磨いていますが、日本はまだ層が薄く、国内のチームとの交流も十分ではありません。今回のロボカップ2009世界大会ではすべてのリーグを通じてシニアでは日本チームは優勝することができず、eR@sersの二位が最高順位でした。

 来年はシンガポールで世界大会が開催されます。アジアでの開催ということもあり日本チームの一層のレベルアップが望まれます。

日時 2009年6月29日~7月5日
場所 グラーツ・オーストリア
報告者 岡田 浩之 (玉川大学工学部・教授)